「巨大脳動脈瘤と解離性脳動脈瘤」
今回は、通常の「開頭クリッピング術」や、コイルをつめる「脳血管内手術」では治療困難な脳動脈瘤をご紹介します。
1つ目は直径20ミリを超えるような「巨大な脳動脈瘤」です。
放置すると破裂率が高く、破裂すると重度のクモ膜下出血や脳内出血となります。
また、手術がきわめて難しいこともあり、非常に死亡率が高い恐ろしい脳動脈瘤です。
「ものが2重に見える」「目が見えにくくなった」「視界が狭くなった」といった目の症状で眼科を受診し、眼科の先生が勧めたMRIなどの検査で見つかる方。
また頭痛で脳神経外科を受診され、運よく破裂前に治療を受け、事なきを得たという方もおられます。
そして、動脈瘤が大きいために瘤の中で血の流れが渦を巻いて血栓ができ、「手足のしびれ」「マヒ」「ろれつが回らない」といった脳梗塞の症状が出て見つかる方もいます。
2つ目は日本人に多い「解離性脳動脈瘤」です。
30代から40代の比較的若い方にも多いのが特徴です。
動脈の壁が何らかの理由で裂け、壁の中に血液が入り込んで血管が膨らんでしまうタイプです。
原因は不明なことが多いのですが、頚部で頚椎の中を走行する推骨動脈に対し、カイロプラティックや頚部のねじれを伴う様々な運動などにより、軽微な外傷が加わったためと考えられる症例が多くあります。
また、「解離性脳動脈瘤破裂」により脳梗塞やクモ膜下出血になった方のうち約80%が発症の前に、「片側の項部(うなじ)や後頭部に突然の痛みが出現した」という報告もあります。
そこで、ひどい項部痛や後頭部の突然の痛みがあればこの病気を疑い、動脈のMRI検査(MRA)が必要だといわれています。
いずれの脳動脈瘤も、放射線を使わないMRI検査や、造影剤を使った3次元脳血管CTで確実に診断できますので、心配な方は検査をお勧めします。
また、これらの治療にはバイパス術を併用し、親血管を閉塞する動脈瘤手術が極めて有効です。
(平成24年4月13日発行 ポスト広告 No.1619より抜粋)